入選
即身成仏の家
久保 秀朗
東京大学 大学院 建築
共同制作者/都島 有美
私に設計を依頼してきたのは天台宗の寺院をいとなむ老齢の僧侶であった。自分の死後に寺を継ぐ者もおらず、このまま古びた寺院で死に寺をつぶしてしまうあろう運命を憂い私のもとを訪れたのであった。即身仏となるための修行である土中入定の儀式にならってこの家は計画された。古来の霊場で使われていた朱色の丹砂を骨材として用いた巨大なコンクリート塊に、人ひとりが座れる小さな場所。遠くに聴こえてくるのは街の喧騒。天井からわずかに洩れる太陽の光の動きが時の経過をわずかながらに知らせてくれる。
入定して数週間、経を唱えながら鳴らす鈴の音も次第に弱くなってくると、僧侶は瞑想状態のまま絶命し生きたままの仏、即身仏となった。残されたコンクリートの塊、僧侶は自身が即身仏となることで自らが御神体の寺を完成させたのであった。
入定して数週間、経を唱えながら鳴らす鈴の音も次第に弱くなってくると、僧侶は瞑想状態のまま絶命し生きたままの仏、即身仏となった。残されたコンクリートの塊、僧侶は自身が即身仏となることで自らが御神体の寺を完成させたのであった。
(平成19年度)第14回ユニオン造形デザイン賞
テーマ:「超豪邸」
審査員:五十嵐 太郎氏 審査講評
賞 | 受賞者氏名/所属機関 | 作品名 | 共同制作者 | 賞金 (単位:千円) | |
大賞 | 田村 翔 芝浦工業大学 大学院 工学研究科 建築工学 | 装う家 | 作品 | 共同制作者/ 山下 祥平 (金沢美術工芸大学大学院デザイン専攻) | 1,000 |
優秀賞 | 澤谷 徳幸 千葉大学 大学院 工学研究科 | みえる光の路 | 作品 | 500 | |
入選 | 皆川 拓 千葉大学 大学院 工学研究科 建築・都市科学 | 目覚めの家 | 作品 | 100 | |
入選 | 幸村 雄太 芝浦工業大学 大学院 工学研究科 建設工学 | ガリバートンネルハウス―超/長豪邸 | 作品 | 共同制作者/ 小林 怜二 (芝浦工業大学大学院 建設工学専攻) | 100 |
入選 | 久保 秀朗 東京大学 大学院 建築 | 即身成仏の家 | 作品 | 共同制作者/ 都島 有美 (九州大学大学院) | 100 |
佳作 | 草ヶ谷 友則 フリー | 背景の家 | 作品 | 30 | |
佳作 | 木原 圭崇 今村雅樹アーキテクツ | 「見せびらかす」住宅 | 作品 | 共同制作者/ 小関 恒司 (日本大学大学院 今村研究室) 福永 雅美 (日本大学大学院 今村研究室) | 30 |
佳作 | 守行 良晃 京都工芸繊維大学 大学院 近代建築史 | 超・都心居住、命の価値は1人当たり1万円 | 作品 | 30 | |
佳作 | 斎藤 隆太郎 東京理科大学 大学院 工学研究科 建築学 | LOCK HOUSE | 作品 | 共同制作者/ 萩野 太郎 (東京理科大学大学院 工学研究科建築学専攻) | 30 |
佳作 | 大平 貴臣 大平貴臣建築設計事務所 | X house | 作品 | 共同制作者/ 関口 翔 (慶應義塾大学大学院 理工学研究科隈研吾研究室) | 30 |
佳作 | 川上 赳 東北大学 大学院 都市・建築デザイン学講座 都市・建築理論 | 夢想の家 | 作品 | 共同制作者/ 奥野 幹 (東北大学大学院 都市・建築デザイン学講座 都市デザイン学分野) 花村 和也 (東北大学大学院 都市・建築デザイン学講座 都市デザイン学分野) | 30 |
合計11件 | 総額 1,980 |