奨励賞
elusive qualities
東野 真人
東京大学 大学院 工学系研究科 生産技術研究所
歴史を重んじる風なことを謳うことが、より現状を難しくする、ということを伝えたかった。
現状の消費主義的な産物を悪とみなし、ただそれへのアンチテーゼとして歴史性を志向することは、次なる偽装の準備に他ならない。どうしようもなく思える現状をも、歴史として存在を認め、存在する価値に向き合ってこそ、未来において真に価値ある物を生み出す土壌ができる。
どんな時代のどんなものも、記憶と空間が、その膨大さによって、温かいものに変えてくれる。ならば、どうしようもなく思える現状の都市も、歪みきった社会の構造も、いつかきっと、古き良き記憶の一部になってくれるのだろう。そう思えたことが、未来を見据える自分にとって、この上ない希望であった。
だから、「歴史」を声高に謳って、資本主義に包摂させてはいけない。過剰な消費を抑えつつ、皆がただ静かに、自分の感覚とそれを通して見える物の価値に向き合っていく。そんな世界を夢見ている。
(令和5年度)第30回ユニオン造形デザイン賞
テーマ:「記憶の建築」
審査員:田根 剛氏 審査講評
賞 | 受賞者氏名/所属機関 | 作品名 | 共同制作者 | 賞金 (単位:千円) |
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大賞 | 岩下 昂平 東京工業大学大学院 建築学系 |
shadow tracing on desert | 作品 | 1,000 | |
優秀賞 | 鴛海 羽乃 北九州市立大学大学院 国際環境工学研究科 環境工学専攻 |
記憶のからくり箱 | 作品 | 共同研究者/ 道田 志歩(北九州市立大学大学院 国際環境工学研究科 環境工学専攻) |
500 |
優秀賞 | 北島 千朔 九州大学大学院 人間環境学府 空間システム専攻 |
文様替え | 作品 | 500 | |
奨励賞 | 矢野 泉和 九州大学大学院 人間環境学府 空間システム専攻 |
BIOTECUTURE | 作品 | 200 | |
奨励賞 | 東野 真人 東京大学大学院 工学系研究科 生産技術研究所 |
elusive qualities | 作品 | 200 | |
奨励賞 | 小泉 裕聖 フリーランス |
カヤ スケープ | 作品 | 200 | |
合計6件 | 総額 2,600 |