優秀賞
memento mori
久恒 玄季
九州大学大学院 芸術工学府 デザインストラテジー専攻
この家の意図はの始点と終点の構築である。今日と生の終わりという二つの意味を兼ねている。かつての日本の家は、儀式の場に由来するように、様々な場所と時間を兼ねていた。だが日常的な機能の追求に終始するようになった人々は、「家」という場所を「住宅」という道具へと変えた。人の「死」も穢れという言葉とともに、日常から排除されていった。そしてそれは、人々から生の骨格なるものを奪った。生の着地点の喪失と、多<の豊かな選択肢は、皮肉にも多くの人々を戸惑わせた。だから私はもうー度家の中に人の「死」を内在させようと考えた。日常の空間を棺とし火葬場とした。生と死は表裏一体なのではなく、生の延長に死がある造形とした。しかしこれはニヒリズムを意識させるものではない。むしろ古代ローマ時代のような陽気なそれである。「死」という確かな着地点は、生に対して誠実に向き合うことを促し、確かな意思をもたらす。
(平成29年度)第23回ユニオン造形デザイン賞
テーマ:「中産階級の美学・再び」
審査員:古山 正雄氏 審査講評
賞 | 受賞者氏名/所属機関 | 作品名 | 共同制作者 | 賞金 (単位:千円) | |
優秀賞 | 久恒 玄季 九州大学大学院 芸術工学府 デザインストラテジー専攻 | memento mori | 作品 | 300 | |
優秀賞 | 佐藤 康行 東京理科大学 大学院 理工学研究科 建築学専攻 | 街灯の下のピアニスト | 作品 | 300 | |
優秀賞 | 秋吉 由登 横内敏人建築設計事務所 | イエの叙事詩 | 作品 | 300 | |
佳作A | 岸本 賢 京都工芸繊維大学大学院 工芸科学研究科 建築学専攻 | 万物は流転する | 作品 | 200 | |
佳作B | 山本 祥史 東京理科大学 大学院 建築学専攻 | 階級の壁を超えて | 作品 | 200 | |
佳作B | 畠山 拓也 九州大学大学院 人間環境学府 空間システム専攻 | The House of Blue Collar | 作品 | 共同制作者/ 高橋 豪志郎 中山 颯梧 野嶋 淳平 福田 拓人 | 200 |
佳作C | 瀬川 育未 筑波大学大学院 人間総合科学研究科 環境デザイン専攻 | 智の積層 | 作品 | 200 | |
佳作D | 山口 薫平 東京理科大学大学院 理工学研究科 建築学専攻 | 街を所帯する欲望の住処 | 作品 | 50 | |
佳作D | 德永 晋 九州工業大学 大学院 建設社会工学専攻 | 超画一社会と欠陥住宅 | 作品 | 50 | |
佳作D | 岡田 夏樹 日本大学 生産工学部 建築工学専攻 | 中産階級の美学/ サヴォア邸により共鳴する世界の富 | 作品 | 50 | |
佳作D | OUNCHANUM PIYACHON 京都工芸繊維大学 | Hopewell : public area for all age and all people. | 作品 | 50 | |
合計11件 | 総額 1,900 |