佳作B
階級の壁を超えて
山本 祥史
東京理科大学 大学院 建築学専攻
建築の裏側に存在する擁壁は、見えない境界となって都市を分断し、格差を生み出している。敷地は港区麻布である。ここには百メートル以上にわたって巨大な擁壁が伸び、上には高級住宅地、下には暗いバラック街と明らかに階級の差が生じている。上下の視線は建築によって遮られ、私達は無意識に階級の壁に支配されている。そこで老朽化した擁壁を解体し、巨大な擁壁建築として再構築・可視化する。擁壁を多段化・建築化することで防災性を高めるだけでなく、内部を公共空間をとして利用する。さらに人々は擁壁に寄り添うように住居を建て、少しずつ住みこなす。擁壁建築は住居に寄生されることによって成長を続けるのだ。いつかこの擁壁が朽ち果てても新たな建築は残り、人々は階級の壁を超えて、ここに住み続ける。
(平成29年度)第23回ユニオン造形デザイン賞
テーマ:「中産階級の美学・再び」
審査員:古山 正雄氏 審査講評
賞 | 受賞者氏名/所属機関 | 作品名 | 共同制作者 | 賞金 (単位:千円) | |
優秀賞 | 久恒 玄季 九州大学大学院 芸術工学府 デザインストラテジー専攻 | memento mori | 作品 | 300 | |
優秀賞 | 佐藤 康行 東京理科大学 大学院 理工学研究科 建築学専攻 | 街灯の下のピアニスト | 作品 | 300 | |
優秀賞 | 秋吉 由登 横内敏人建築設計事務所 | イエの叙事詩 | 作品 | 300 | |
佳作A | 岸本 賢 京都工芸繊維大学大学院 工芸科学研究科 建築学専攻 | 万物は流転する | 作品 | 200 | |
佳作B | 山本 祥史 東京理科大学 大学院 建築学専攻 | 階級の壁を超えて | 作品 | 200 | |
佳作B | 畠山 拓也 九州大学大学院 人間環境学府 空間システム専攻 | The House of Blue Collar | 作品 | 共同制作者/ 高橋 豪志郎 中山 颯梧 野嶋 淳平 福田 拓人 | 200 |
佳作C | 瀬川 育未 筑波大学大学院 人間総合科学研究科 環境デザイン専攻 | 智の積層 | 作品 | 200 | |
佳作D | 山口 薫平 東京理科大学大学院 理工学研究科 建築学専攻 | 街を所帯する欲望の住処 | 作品 | 50 | |
佳作D | 德永 晋 九州工業大学 大学院 建設社会工学専攻 | 超画一社会と欠陥住宅 | 作品 | 50 | |
佳作D | 岡田 夏樹 日本大学 生産工学部 建築工学専攻 | 中産階級の美学/ サヴォア邸により共鳴する世界の富 | 作品 | 50 | |
佳作D | OUNCHANUM PIYACHON 京都工芸繊維大学 | Hopewell : public area for all age and all people. | 作品 | 50 | |
合計11件 | 総額 1,900 |