佳作C
智の積層
瀬川 育未
筑波大学大学院 人間総合科学研究科
環境デザイン専攻
これは貧困層の家庭における子供たちのための空間の提案である。かつて一億総中流と呼ばれていた住宅と経済の歯車は分解し、富裕と貧困の二極化へと進んでいる。では貧困層における「住宅」への夢とはなんだろうか。それは古今変わらず “未来への希望” なのではないかと考える。現代では経済格差が教育格差を生み、格差の連鎖をもたらすと言われているが、経済的な貧困が子供たちの心の豊さまで奪う訳ではない。本提案では、各々の家庭が持つ書棚を住戸外へ反転させることによって、住戸の数だけ知が積層する2m四方のヴォイドを構成する。螺旋階段と子供部屋からのみアクセスできるこの空間は子供たちの身体とふるまいを包容し、大人や外部環境から一線を画す隠れ家/遊び場となる。子供たちが貧困から来る様々な問題にぶつかった時、本の中の様々な世界や知識、そしてこの空間が心を支え、豊かな未来へ後押しすることができたらと思う。
(平成29年度)第23回ユニオン造形デザイン賞
テーマ:「中産階級の美学・再び」
審査員:古山 正雄氏 審査講評
賞 | 受賞者氏名/所属機関 | 作品名 | 共同制作者 | 賞金 (単位:千円) | |
優秀賞 | 久恒 玄季 九州大学大学院 芸術工学府 デザインストラテジー専攻 | memento mori | 作品 | 300 | |
優秀賞 | 佐藤 康行 東京理科大学 大学院 理工学研究科 建築学専攻 | 街灯の下のピアニスト | 作品 | 300 | |
優秀賞 | 秋吉 由登 横内敏人建築設計事務所 | イエの叙事詩 | 作品 | 300 | |
佳作A | 岸本 賢 京都工芸繊維大学大学院 工芸科学研究科 建築学専攻 | 万物は流転する | 作品 | 200 | |
佳作B | 山本 祥史 東京理科大学 大学院 建築学専攻 | 階級の壁を超えて | 作品 | 200 | |
佳作B | 畠山 拓也 九州大学大学院 人間環境学府 空間システム専攻 | The House of Blue Collar | 作品 | 共同制作者/ 高橋 豪志郎 中山 颯梧 野嶋 淳平 福田 拓人 | 200 |
佳作C | 瀬川 育未 筑波大学大学院 人間総合科学研究科 環境デザイン専攻 | 智の積層 | 作品 | 200 | |
佳作D | 山口 薫平 東京理科大学大学院 理工学研究科 建築学専攻 | 街を所帯する欲望の住処 | 作品 | 50 | |
佳作D | 德永 晋 九州工業大学 大学院 建設社会工学専攻 | 超画一社会と欠陥住宅 | 作品 | 50 | |
佳作D | 岡田 夏樹 日本大学 生産工学部 建築工学専攻 | 中産階級の美学/ サヴォア邸により共鳴する世界の富 | 作品 | 50 | |
佳作D | OUNCHANUM PIYACHON 京都工芸繊維大学 | Hopewell : public area for all age and all people. | 作品 | 50 | |
合計11件 | 総額 1,900 |