佳作
私と干潟の故事
楊 翌呈
東京理科大学大学院 理工学研究科建築学専攻
共同制作者/青山 実樹
21世紀に入り様々な技術、様々な概念が生まれ、多様化であることが当たり前のような事になった。時代は確実に変わりつつあるが、建築はいまだ伝統的な思考のまま、停滞している。建築家は自然を切り捨て、機能という概念によって空間を定義し、それらを組み合わせて最適解を求めてきた。住宅は本当に文字通りの「住むための機械」になってしまった。住宅に多様性はなくなり、それに求めるものが非常に単純化された。このような状況に我々は疑問視し、住民と周囲の環境と連動した家を考える。「働き者の住宅」とは常に何かと関係性を保とうと働きかけている「家」だと感じた。そこで干潟で働く漁師の家を考えた。従来のように敷地条件や図面から設計するのではなく、建築を構成るに構成材から設計する。生物がもつ固有名詞の意味をあえて湾曲させ、「誤読」し、そこから派生した新たな「言葉」から建築の構成要素を発見する、いわば干潟の生態系を漁師が自分の五感で読み解き、一つの家が生まれた。その家は干潟の生態系であり、住人である漁師の生態系でもある。家の働きかけによって一つの世界ができる、そんな家を作った。
(2019年度)第26回ユニオン造形デザイン賞
テーマ:「働きものの住宅」
審査員:中村 好文氏 審査講評
賞 | 受賞者氏名/所属機関 | 作品名 | 共同制作者 | 賞金 (単位:千円) | |
優秀賞 | 馬場 隆介 鹿島建設 建築設計 | 働きものシェルター ‐Shelter Overlapping with Wind‐ | 作品 | 400 | |
優秀賞 | 白井 雅人 東洋大学 大学院 理工学部 建築学専攻 | 小さな連関の構築 | 作品 | 共同制作者/ 石井 桃子 | 400 |
奨励賞 | 安田 星香 福井大学 工学部 建築・都市環境工学科 | Re Light House | 作品 | 350 | |
秀作 | 坂本 真希 崇城大学 大学院 建設システム開発工学専攻 | シャル・ウィ・ハウス | 作品 | 共同制作者/ 大城 翔茂 | 300 |
秀作 | 落合 諒 東京理科大学大学院 理工学研究科建築学専攻 | モノが彩るイエの灰インフラ | 作品 | 共同制作者/ 七五三掛 義和 | 300 |
佳作 | 山本 康二 豊田工業高等専門学校 建設工学 | Gnomes’ Village | 作品 | 150 | |
佳作 | 江邨 梨花 日本大学生産工学部建築工学科 居住空間デザインコース4年 建築意匠 | 夏、雪室で会いましょう | 作品 | 共同制作者/ 鈴木 輝 | 150 |
佳作 | 楊 翌呈 東京理科大学大学院 理工学研究科建築学専攻 | 私と干潟の故事 | 作品 | 共同制作者/ 青山 実樹 | 150 |
佳作 | 佐藤 稜 三重大学大学院 工学研究科 建築学専攻 | めぐる雨、あしたへ生きる | 作品 | 150 | |
合計9件 | 総額 2,350 |